1Day café @c:hord hayama 【Golden Afternoon=ルイスキャロルの世界】

event / c:hord hayama

先日は久々の1Day café @c:hord hayama
梅雨入りしてしまい残念なお天気ではありましたが
それでも見下ろす海はキラキラしていて
テーマにした『Gorlden AFternoon』にぴったりの午後

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キャロルがのちに”黄金の午後”と回想したというある日の川辺のピクニック風景

今回のテーマは大好きなルイス・キャロル

不思議の国のアリスの原作者であり数学者、写真家でもあった18世紀に活躍した人物。
ロジカルな言葉遊び、ちょっと世界の風潮や価値を皮肉ったシニカルなストーリー、シュールな表現やイラスト
自身の吃音を「ためらい=hesitation」と名づけ
吃音と本名のドジソンをもじってドードー鳥というキャラクターを作り
作品に登場させてアリスを助けたり

アリスに指ぬきを渡すDodo
イラスト:ジョン・テニエル

10代から、どういうわけかイギリスかぶれで
美術学校に通うころにはテニエルの原画の復刻版を探したり

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アリスに指ぬきを渡すDodo
イラスト:ジョン・テニエル

10代から、どういうわけかイギリスかぶれで
美術学校に通うころにはテニエルの原画の復刻版を探したり
あの線描に興味を持ってエッチングを習ったりしたもの。
そして絵や文の中の意味を想像したり調べたり
なぜキャラクターをこの形にしたのか
この風刺にはどんな背景があるのか
7歳のアリス・リデルへの贈り物として仕上がった原作を
そのアイディアの源を知りたかった。

ビジュアル重視派ですが中身も伴っていないと気が済まないタイプ

最初はもちろん見た目です。
あの時代の服装や食器類、優雅にうつる日々の暮らしぶり
川辺のピクニックなんかも
当時はそれしかなかったというのもあるでしょうが
原っぱに陶器の食器を持ち込んで
まるで室内と同様にふるまうそのあそぶっぷりがたいそう憧れて
カゴにティーカップと紅茶を入れたポットを積んで
当時4〜5歳の息子と近くの公園の芝生でお茶をするためだけに自転車をはしらせたりしたものです。
重くても、割れるリスクがあっても陶器じゃなきゃだめだった。
どんなにお金がなくても本物を選びたかった。
そして、本物だからこその満足感へのこだわりが
逗子海岸映画祭でのAMIGO KITCHEN浜辺のレストランなどへと引き継がれ、現在のコンセプトカフェへと続くのです。

今回はそこに加えて素晴らしいイラストも描きおろしていただけることに。
親交のあるイラストレーター・ハラカズヒロさんの声かけのもの
元アシスタントだったMayちゃんが
それは素敵なイラストの数々を送ってくれました。

そのおかげでMenuのデザインも充実。

この数日前に個人宅でやった茶会で使用の素敵な銀食器
その方が嫁いだ時持ってきたという大切なティーポット
そして私の大好きなヴィクトリアケーキ

(個人宅では、エラールという年代物のピアノをチェンバリストの森洋子さんに生演奏していただきました。なんという贅沢!!!)

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思い出のティーポット イラスト:May

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ヴィクトリアケーキ イラスト:May

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由緒ある銀食器    イラスト:May

 

 

 

 

 

 

これらはただのメニュー画像ではなく
大切な方々と過ごした素敵な思い出の午後の記念品として
のちに製本してお渡しする予定。

歴史から紐解く世界観

時間が作り出す価値がある。
それはどんなに小手先の技術が巧みでもやはり敵わないと思うのです。
時間だけでなく、そこには必ず背景となる歴史がある。
歴史を知ることでさらに理解や想像は膨らんで
そこから新しい価値を生み出すこともある。

今回の19世紀という時代
ヴィクトリア女王が18歳で戴冠した、混沌から繁栄までの時代
貴族社会が絶対的な力を持っていたであろう時代
善悪の価値観があきらかに現代とはちがう時代

例えばマッドハッターという名で有名になったThe Hatter(気狂い帽子屋)

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「帽子屋のように気が狂っている(mad as a hatter)」という慣用句があったそう     イラスト:May

当時の帽子屋はなぜ気が狂ってしまったのか…その答えは

19世紀の英国では、帽子の素材となるフェルトを処理するために「硝酸第二水銀」 が使われていた。フェルトの材料である羊毛は、表面がうろこ状のキューティクルに 覆われており、このキューティクル同士を絡み合わせ固くするために、水銀による物理 化学的な処理が行われていた。このとき用いられた水銀は、蒸気(気体としての元素 状水銀で、肺から吸収され水銀中毒を起こしやすい)となって作業場内に排出される ため、作業者は高濃度の水銀にばく露されること(危険因子にさらされること)にな る。「水銀蒸気」による繰り返しばく露では、中枢神経系が標的臓器と考えらえており、 振戦(手足の震え)や水銀エレチスムと呼ばれる行動・性格の変化(癇癪、いらいら、 過度の人見知り、不眠等)が症状として現れ、それらが全て帽子屋の職業病「帽子屋 のように気が狂っている(mad as a hatter)」と考えられた

不思議な水銀の話

https://www.env.go.jp/chemi/tmms/husigi/hg_husigi_08.pdf

偽ウミガメにしてもそう。
当時流行したウミガメのスープ
貴族社会では流行りすぎてウミガメを乱獲し絶滅寸前
そして真似をしたい一般市民の間では
高価なウミガメの代わりに肉がなく安価に手に入る仔牛の頭や足を使ってウミガメもどきのスープを楽しんだらしく
そこで登場したキャラクターが”偽ウミガメ”

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頭と足が仔牛の”偽ウミガメ”
イラスト:ジョン・テニエル

美しい部分と歪な部分があって
その両方が表裏一体となってできあがっていることは
どの時代もどこ国の文化も同じだけれど
美しいものと歪なものですら時代が変われば見え方がかわるし
見る人によってもまた変化する。
そこが面白くもあるところ。

わたしたちは
知っていることでしか判断できないし
見たことのあるものからしら想像できない。
そして見たいものしか見えないという特徴も兼ね備えている。
ということは
見たいものの範囲を広げることで
見えるものが多くなるということでもあるのかな、と。
私がコンセプトを大事にしたいのは
自分に見えるものをもっと掘り下げたいからなのかもしれません。
知らないということを知り
もっと知りたいと思うことから
視界を広げようとしているのかも。

表面しか見ないでいるとわからない本質がある

ちょっとBTSのこと。
この日の片付けを終え、次の企画の打ち合わせをした帰り道
私がARMYと知っている友人がスマホを見ていて
『なんか今BTS解散?活動休止?のニュースが出てるよ?』と。

BTSは音楽も価値観や哲学も、各メンバーのキャラクターや人間性もとても好きで日々学ぶことが多いと思っていて
そしてMVやアルバムコンセプトの作り込み方は
デビューから現在まで一貫して私のオタク心をわし摑みするほど巧妙ですばらしい。
そんな彼らはつい最近カムバックして新曲もリリースし、アルバムも出し
その歌詞や前日配信されたライブ動画でも解散や休止のニュアンスはなかったから、???がいっぱい。
(若いころなら動揺したりショックを受けて先走っていたのかもね)
これまで幾多の誤解報道やアンチニュースの被害を受けている事実もあるしそもそもネットニュース自体信用していないし
日頃の本人たちの言動から察すると、またか、と思ったけれど
日本語字幕のない動画だったのでニュアンスがわからず混乱した人や
誰かが切り取った部分的な動画と解釈でざわついたりしているようで
ここでもはやり
自分軸を持っていないとどれだけ踊らされてしまうのか再確認。
練習生時代から10年以上の月日を共にして
切磋琢磨してきたその時間、彼らの歴史
そこを軽くみていると見誤るんだと思った。
時間を無視して、表面だけ眺めることの危険さと愚かさ。

例えば今回選んだルイス・キャロルという人物だって
本人と親交すらなかったのちの研究者と名乗る人々が
かなり勝手に強引に
彼の人物像を作り上げているのだろうし
その作り方は、好意的かどうかの違いはあれど
その人の見ている面がどこかによって甚だしく変わっているのだから。
(もちろん、かくいう私だってそのひとりだろう)

これ、身近な人間関係においても
料理やアート、家具、すべての物語に通じている観念だと思うのです。

この話は【暮らしの学校】で打ち出している自分のものさしを持つこととリンクしていて、そのまま自分の人生観に影響することなのでまた別の機会にちゃんと語りたいな。
と思った不思議な1日でした。

次回1Day caféは10月30日
いまのところテーマは
『ナイル殺人事件』の予定です。

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Menu

当日の飲み物はロイヤルワラント(英国王室御用達)のヒギンズの紅茶3種

・MAYFAIR

・AFTERNOON TEA

・DUKE STREET

H.R.ヒギンス オンラインストア / TOPページ

Thank you…

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