【暮らしの学校】第2回=季節仕事で学ぶ=味噌仕込み・塩、麹、豆のはなし

2022年「暮らしの学校」

味噌仕込み・塩、麹、豆のはなし

第2回も、ひき続き季節しごとで学ぶ回。

【 第2回 季節しごとで学ぶ】味噌仕込みと、塩・糀・発酵のはなし

【第2回 味噌・補講】 塩と糀の話

【第2回 味噌・補講 】大豆のはなし

 

CINEMA AMIGO開館以来ここ10年以上
毎年恒例となっている味噌仕込み。
これまでは、元アミーゴキッチンメンバーでもあり
鎌倉大町オイチイチ店主である育代先生指導のもと
彼女のつながりから材料は
九州の糸島で作られた麹・塩と
青森の有機無農薬青大豆で
毎年1年間、シネマアミーゴの床下で眠ってもらっておりました。
今年は逗子の自然食品店 陰陽洞さんセレクトの糀・大豆・塩を使い
各自自宅へ持ち帰って熟成させることに。

そして
ご自分で材料を調達したい方のために
収録しておいた陰陽洞・タエさんの塩・糀・大豆の話を事前配信。

【たかが塩という勿れ】

塩にも、砂糖同様に精製塩と自然塩があります。
もともと原料は海水なので、自然塩という表現じたいがおかしいんだけれど、と陰陽洞のタエさん。
ざっくりと製造方法と産地(使用する海水の地域)の違いによって成分がかわり、成分が違うから当然味もかわります。
ミネラル分が多いほど丸み、旨味が感じられるのです。
ということは、使う料理によっても選択は変わり
当然のことながら、使う塩によって仕上がりの味がかわる。
塩ならなんでも一緒…ではないのです。

今回使う塩は、沖縄のシママース。

シママース本舗青い海/沖縄の塩シママース 650g

 

なぜ陰陽洞でシママースを推しているのか

戦後、法で整備された塩の専売公社のはなし。
当時アメリカ領だったた沖縄から
本来たべてきた自然の塩をどうやって本州へ持ち込んだのか
沖縄の歴史にも触れる機会になり
はじめは安く安定供給しようと考えた政府の思惑と
本来どおりの塩を食べたい人の欲求と
制度の中で省かれてしまったけれど
実はとても大切であったはずの自然のバランスや人体への影響など
一方だけではわからない
双方なりの思想や正義があって
なにを大事にするのか
どこに重きを置くのか
答えはひとつではないだけに
陰陽洞の商品選びに、ひとつ選択の基準を垣間見る回となりました。

ただ商品名や原料・産地など
記載されている情報に頼って商品選択をしていては見えない
歴史に刻まれた深い理由がわかって、とても興味深かったです。

【糀から垣間見る小宇宙】

糀・麹 どちらもコウジと読みます。
米に花が咲く糀は主に米こうじのことだそうですが
一般的には米でも麦でも麹という文字を使うことが多いかも。
陰陽洞が毎年選んでいる島根県のヤシマ共同農場では”糀”と書かれているので、陰陽洞では麹ではなく糀を使っていると伺いました。

現在もやし屋とよばれるタネ麹屋は全国で7軒前後だとか。
麹は麹カビという菌。
菌の培養は、種類次第では生物兵器にもなりうる危険性もあるため
国の管理のもと許可されたところのみ営業ができるそうです。
日本酒、みりん、味噌、醤油などの伝統食品に使われてきた麹。
洋食がさかんになり味噌や醤油、日本酒の消費量が激減し
それにともないもやし屋も店じまいが進んだとか。
塩麹ブームを作ったのは
そんななか、なんとか起始回生をはかったあるもやし屋さんの挑戦だったと知りました。

菌という生き物の世界は奥深い…

※ちなみにヤシマの生糀は早めに購入しないとすぐになくなってしまいます(汗

ヤシマに限らず、無農薬米で作られる生糀は全体量も多くないで時期がきたら早めに予約が安心。

生米麹 無農薬【生米こうじ1kg】 無肥料【新米使用】愛媛県産コシヒカリ使用 生米糀 生麹

いろいろな菌の中でも、こと麹菌は
殺菌作用の強い塩ととても相性がいいめずらしい菌だそうで
どういういきさつかは分からないけれど、その結果味噌というたべものが出来上がったのでしょう。
(ヤギの胃袋を乾かした水筒にミルクをいれて砂漠を旅したらチーズになっていた、みたいなはじまりのように、味噌のはじまりは何を作ろうとしたのかな…)

そして菌はコロニーを作りたいので
麹菌の居心地がいい場所ができれば
(麹菌のコロニーができれば)
その場所は味噌に最適な菌床となり
シネマアミーゴの床下のように
やがて白カビ以外は立ち入らなくなって綺麗な味噌が仕上がる特別な場所となります。

【大豆の立ち位置】

今年の大豆はとても出来が良かったそうで、
気候の変動が作物に及ぼす影響を耳にするたび
あらためて毎年手に入ることのありがたさが身に沁みる。

大豆の栄養価は、畑の肉と呼ばれます。
高タンパク・高脂質・繊維質も豊富。
戦後来日したドイツの医学者が自国へ戻り、大豆の生産に力をそそいだという話しが残っているほど。
食糧不足の時代に、大豆の栄養はとても大きな力になったのでしょう。
その大豆を長く保存して食べられるようにした味噌、醤油は
味だけでなく栄養面でも重要だったもの。

タエさんは言います。

「もし私が農家だったら、今年採れた新豆は美味しく食べて、去年乾燥して保管しておいて食べきれなかった残りの古い大豆を味噌にして食べるとおもうの。
今は、新豆でわざわざ味噌を作るんだから、自家製味噌はそうとう高級品なはずよ。」

現在は輸入にたより食糧自給率が低い日本。
これまで通り欲しい食べ物がいつでも手に入る時代は
わたしたちが思うほど続かないかもしれない。
ふとそんなことが頭をよぎります。
今の当たり前が
未来の当たり前とは限らない。

だから
今あることに感謝しないと。

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【素材の話しから見える社会】

塩、麹、大豆の話をたくさん聞きながら
たくさんの思いが渦巻きました。

生産者の思い
消費者の思い
提供者の思い
管理者の思い

生産には自然環境が大きく影響し
そこに挑戦しようとした先人たちが
化学の力で対応しようとしたのも事実でしょう。
技術や研究は、ときに最初の目的からずれていくこともあり
思わぬ結果が別の利用法に繋がったりすることもあれば
最終目的だけをめざして猛進すあまり
その行間にあるものを
人の思いや、人体への長期的影響や、環境破壊につながることを
無視してしまうこともあるだろうと思います。
そしてその全ては
歴史の中に残されているんだなぁと思うのです。

 

 

 

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